頭を空っぽにする方法。「何も考えない」が下手な人へ
「何も考えたくない」のに、考えてしまう
仕事を閉じたあとも、頭の中はまだ動いています。休みの日なのに、気がかりが順番に顔を出す。「もう何も考えたくない」と思っているのに、その「考えたくない」ことについて考えてしまいます。
頭を空っぽにするのが上手な人と、下手な人。もしあなたが下手なほうなら、先に知っておいてほしいことがあります。
頭は、「空っぽにしよう」とすると埋まる
「シロクマのことだけは考えないでください」と言われると、人はシロクマのことばかり考えてしまいます。有名な心理実験です。
考えないようにした瞬間、頭はそのことを見張りはじめます。見張っているかぎり、忘れられません。「無」になろうとする努力は、たいてい逆に働きます。
だから、頭を空っぽにするコツは「考えない」ことではありません。先に、全部出してしまうこと。 空にしたいなら、まず注ぎ出す。この順番が、いちばんの近道です。
1. 頭の中身を、全部外に出す
紙でもスマホのメモでもかまいません。頭にあるものを、大小も順番も気にせず書き出していきます。ブレインダンプと呼ばれる方法です。
「月末の支払い」「返信してないメッセージ」「そういえば実家に電話」。出しているあいだは、整理しない。判断もしない。ただ出す。
全部出しきったあとの頭は、目に見えて軽く感じられるはずです。覚えておく仕事から解放されるからです。
2. 声に出す
書くのが面倒な日は、声でかまいません。独り言で「今、頭にあるのは──」と話しはじめてみてください。
話すのは書くより速い。浮かんだそばから外に出るので、頭の中で渋滞しません。歩きながらでも、湯船の中でもできます。声に出すことの効果は独り言の記事で詳しく書きましたが、要点は一つ。口に出した考えは、頭の外に置けます。
3. 手と身体に、仕事を渡す
皿を洗う。部屋の一角だけ片づける。散歩に出る。
単純な作業に手を動かしていると、頭は自然とアイドリングに入ります。「考えごとを止める」のではなく、身体に主導権を渡して、頭を後部座席に座らせるイメージです。
4. 五感に戻る
考えごとは、たいてい過去か未来にいます。だから、いまここに注意を戻すと止まりやすくなります。
いま見えているものを三つ、心の中で挙げてみてください。聞こえている音を二つ。感じている感触を一つ。それだけで、頭の中の音量が一段下がるのを感じられるはずです。
5. 「今日はもう考えない」と宣言する
それでも浮かんでくるしぶといものには、予約を入れます。「これは明日の朝、考える」。メモに一行書いておくだけです。
頭が手放せないのは、忘れることが怖いからです。考える時間が確保された案件は、今夜見張っておく必要がなくなります。
瞑想は「空っぽの練習」、書き出しは「空っぽの準備」
頭を空っぽにする方法として、まず瞑想を思い浮かべる人は多いはずです。実際、呼吸に注意を戻す練習は、頭の中の音量を下げる助けになります。
ただ、考えごとで満杯の頭のまま座ると、雑念との我慢比べになりやすい。目を閉じた瞬間、気がかりが一斉に話しはじめて、「自分は瞑想に向いていない」と挫折する。あの現象です。
向いていないのではなく、順番が逆なだけ。先に頭の中身を書き出してから座れば、雑念の総量そのものが減った状態で始められます。瞑想を続けたい人こそ、その前の5分の書き出しを試してみてください。
音楽やゲームはどうでしょうか。あれは注意を外に貸し出す方法です。聴いているあいだ、遊んでいるあいだは、たしかに静かになります。ただ、頭の中身は出ていっていないので、終わると戻ってきます。気晴らしとしては十分。繰り返し戻ってくる気がかりには、中身を外に出す方法を足してみてください。
寝る前だけは、やり方を変える
一日でいちばん頭が騒がしいのは、布団に入った瞬間です。照明が落ちて、予定が終わって、頭だけが暇になります。
寝る前は、書き出しを短く、静かにやります。枕元のメモに気がかりを並べて、「全部、明日の自分に渡した」と閉じる。スマホの光が気になるなら、小さくつぶやくだけでもかまいません。
それでも眠れない夜の対処は、寝る前の考えごとの記事に分けてまとめてあります。
空っぽは、ゴールじゃなくて余白
頭を空っぽにするのは、何も考えない人になるためではありません。次に考えたいことのための、余白をつくるためです。
全部出す。身体に渡す。いまに戻る。どれか一つでいいので、今夜試してみてください。
よくある質問
空っぽにしようとするほど考えてしまうのは? 自然な反応です。「考えない」は脳にとって見張りの指示になります。だから、先に出す。出したものは、見張らなくて済みます。
寝る前に頭を空っぽにするには? 枕元で気がかりを書き出すか、小さくつぶやきます。そして「明日考える」と予約する。考えないようにする努力だけは、しない。
瞑想とどっちがいい? 順番の問題です。先に出してから座ると、瞑想はぐっとやりやすくなるはずです。
音楽やゲームでもいい? 気晴らしとしては十分効きます。ただし中身は残るので、戻ってくる気がかりには書き出しか声出しを足してください。
